本年5月18日(土)に、第18回目となります「武田の杜薪能」を開催します。
今年はこれまでの薪能ではあまり上演しなかった『修羅物』の能を演じてみたいと考え、数ある演目の中でも唯一、女武者を取り扱った能『巴』を上演致します。
能には修羅物と呼ばれる源氏・平家の武将の亡霊が登場する演目のジャンルが存在しますが、中でもこの「巴」は、木曽義仲の最期まで付き従った女武者・巴の悲哀と義仲への愛を描いた名曲とされています。
木曽より出た旅の僧が、近江国(滋賀県)粟津ケ原を訪れると、そこに佇む社の前で一人涙を流す女性と出会います。不審を抱いた僧が言葉をかけると、女性はこの社が木曽義仲を祀った神社であると教え、同郷のよしみで義仲を弔ってほしいと僧に頼みます。やがて夕刻になり辺りが暮れ始めると、女性は自分こそ義仲に所縁のある者とほのめかすと、草の陰に消えて行きます。土地の者から話を聞いた僧は、先刻の女性が巴御前の亡霊であると気付くと、夜もすがら弔いの経を上げます。すると僧の夢の中に甲冑を身にまとった巴御前の霊が現れ、女であるがゆえに義仲と死を共にできなかった無念を述べます。その後、義経・範頼の軍に追われ、この粟津ヶ原にて自刃した木曽義仲の最期を語ると、自身も義仲と共に自害を望んだが許されず、最後は義仲の形見を携え泣く泣く木曽へと落ち延びて行った悲しみを再現すると、重ねての回向を頼み消えて行きます。
平家物語『木曽最期の事』を典拠に作られた能ですが、本曲では義仲が自害し、それを巴が見届けたと言う設定になっています。女修羅物というジャンルにありながら、主君を愛した一人の女性の切ない心情を中心に描かれた名作です。曲中には『木曾義仲』本人を舞台に登場させず、死した巴の亡霊が義仲の立場から古の戦物語を再現するという『仕方噺』(しかたばなし)の手法はまさに能ならではの巧みな表現と言えます。
また、今回の上演に際しての「事前講座」を、4月27日(土)午前10時よりYouTubeにて配信します! 当日の演目の紹介や見どころ解説、また実際に使用される能面などもご覧頂けます。チケット発売は今月30日(土)午前10時からとなります。ご希望の方は、直接に佐久間二郎へお電話かメールを送って頂いても結構です。また、Facebookメッセージでも承ります!
新緑に包まれた武田の杜に浮かぶ能舞台の幽玄なる風情を、ぜひ存分に味わって下さいませ。以下、詳細です。
◆ 第18回武田の杜薪能◆
〇 日時:令和6年5月18日(土)午後5時開演(午後4時開場)
〇 会場:武田神社能楽殿(甲陽武能殿)
〇 入場料:
正面特別席:10,000円(最前列・お土産付)
正面席 :8,000円
脇・中正面:7,000円
〇 演目
・解説 本日のみどころ 佐久間二郎 大藏 教義
・仕舞 『木曾』 観世 喜之
『兼平』 観世 喜正
・狂言 『附子』
シテ(太郎冠者)大藏 教義
アド(次郎冠者)榎本 元
アド(主人) 上田 圭輔
・能『巴』
シテ(里女/巴御前の霊)佐久間二郎
ワキ(旅僧)野口 能弘
アイ(所の者)大藏 教義
笛 一噌 庸二
小鼓 鳥山 直也
大鼓 柿原 弘和
地謡 観世 喜正 他
午後7時20分頃終了予定
◆チケット申し込み
・武田の杜薪能実行委員会
電話:055-252-2609
・佐久間二郎
電話:042-316-4860
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。
佐久間二郎 敬白
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